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作曲家に訊く 第9回『Dream Layer』ワカバ


洗足学園音楽大学大学院 音楽・音響デザインコース修了。 幼少期からピアノを習い、音楽系の部活・サークルを多種経験。 16歳で初音ミクをきっかけにDTMを始める。 2017年に洗足の大学院に入学し、 修了後はインターネットを中心に音楽活動を続けている。 好きな食べ物は担々麺。

 

——この作品はどのようなテーマですか?

ワカバ「この作品は、”重なる夢”というテーマで制作しました。”Layer”は層という意味ですけど、昨年も僕の作品が発表されて思った事があって。この演奏会って、演奏者や映像を作る人、音響、照明など、たくさんの方が関わってプロジェクトが完成していくじゃないです か。いろんな人の夢や出来ることを重ねていった層によって浮き出てくるひとりの幻想というイメージ。そういう、このプロジェクトにぴったりな曲を作りたくて、”Dream Layer”というタイトルにしました。また、個人が目指す理想に近づくために夢を重ねてゆく、という意味合いもあります。」

—— VOCALOIDの魅力はなんですか?

ワカバ「VOCALOIDの大きな要素として、どんな人にでも創作の可能性を与えるというのはあると思います。購入さえすれば、誰でも歌わせることができて、それも人間の歌手と違っ て歌えない・歌いたがらない楽譜や言葉・思想がないので、本当に好きな歌詞や好きな創作を歌わせる事ができる。とにかく、自由に創作できるというのが、VOCALOIDの魅力だと思うんですよね。」

——確かに一般的な歌ものと比べて、その点は強みですね。

ワカバ「加えて言うなら、VOCALOIDにはそもそもソフトウェアとキャラクタービジュアルしかなく、性格や経歴のようなバックボーンがないんですよね。人間の歌手だ、どうしても誰が歌っているかが付きまとって、作編曲家が別にいても「その歌手の歌」と捉えられが ちです。しかし VOCALOIDはバックボーンさえも創作されたものになるため、今まで歌手に当たっていたスポットライトが透けて、その後ろにいるクリエイターに当たります。今回 の演奏会でも、ステージ上で歌い踊るキャラクターを通して、僕や学生たちを見ていただけ るのではないかと思います。」

——VOCALOID に触れたのはいつ頃からですか?

ワカバ「もともと高校でバンドをやっていまして、その時にボイスレコーダーを買ったんで すよ。ボイスレコーダーに DAWがついていたんですけど、作曲ができる環境がたまたまあって。VOCALOID を聴き始めたのは確か2007,2008年くらいでしたけど、中学の時から初 音ミクが好きで、それもあって VOCALOID の創作を始めましたね。」

——音楽経験はどのような流れですか?

ワカバ「中学は吹奏楽部でチューバとアルトサックス、高校では軽音楽部でボーカルやギター、キーボード、先ほど言った通り VOCALOIDの作曲も始めて、大学では合唱と 合唱指揮をやってましたね。もともと歌うのが好きで、小さい頃も気づけば歌っていた感じでしたし、だから歌の創作、VOCALOID に興味を持ち始めたというのはありますね。」

——今までの経験で作曲に活かせたことはありますか?

ワカバ「様々な楽器に触れたことですね。一回触れただけでも、音楽作りには役立ちました。 視覚的イメージだったり、どんな音が出るのかとか。もちろん知識として知っていれば曲作りは出来るかもしれませんが、実際に体験した前と後では、大きな差を感じます。」

——洗足学園音楽大学に来てよかったことはありますか?

ワカバ「僕は4年間一般大学に通っていたのですが、その時はVOCALOIDがここまで音大で受け入れられるとは思っていなかったんですよね。ですが洗足の院に来て、VOCALOIDで音楽をやっていて良いんだと、前向きになれたのが洗足に来て一番良かったことです。あとは、大学の先生方や仲間、設備など、環境がとても充実していた事ですね。」

——最後に当日来てくださる方へのメッセージをお願いします。

ワカバ「機械の歌声にこんなに夢中になれる人がいるんだ、それくらい魅力的なものなんだということを知っていただければ嬉しいです。」







インタビュアー   内藤 雅人(2年)

ライター   内藤 雅人(2年)

撮影 音デオフィス職員

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